IPoEとは?PPPoEとの違い、IPoEの特徴やメリットについて
IPoE(IP over Ethernet)方式のIPとは、「Internet Protocol(インターネット・プロトコル)」の略で、インターネットで情報を送受信するための基本的なルールという意味です。
このIPに則って、企業内のLANなどと同じ通信規格「イーサネット」で、直接インターネットに接続する方式がIPoEです。
IPoE方式は、初めからイーサネットを通信に使う前提で開発されているため、「ネイティブ方式」と呼ばれることもあります。
「IPoE」は「次世代インターネット接続環境」といわれ、 これからスタンダードとなる回線方式です。
従来のPPPoE方式に比べて大容量で、通信が混雑することなくスムーズに行われ、快適で安定した接続環境のため、法人向け回線としても大きなメリットがあります。
IPアドレスは電話番号と同じく、重なることはありません。そのため、混線したりすることがなくスムーズな通信が可能です。
これまで通信機器はIPv4枠のIPアドレスを所有していましたが、今後の機器はIPv6枠のIPアドレスになっていくと予想されます。
ここ10年で世界的にスマートフォンの利用人口が爆発的に増加したこともあり、IPv4の持つ43億個のIPアドレスがほぼ枯渇してしまいました。
しかし、新しい通信ルールIPv6の持つIPアドレスは約340澗(かん)個。これは340兆×1兆×1兆という途方もない数です。
事実上IPアドレスを無限に作ることができるため、通信機器がどれだけ増加しても大丈夫なのです。
なぜIPv6が登場したのかというと、従来のIPv4では、IPアドレスの数(約43億個)が上限に達しつつあるということです。
IPoEとPPPoEの違い
「IPoE」とは、フレッツ網からインターネットに接続するための新しい接続方式のひとつで、ほかにも従来型の「PPPoE」という接続方式があります。
従来の接続方式であるPPPoE接続は、光回線の速度低下を招く一因になっています。
PPPoE接続とは、ポイント・トゥ・ポイント・プロトコル・オーバー・イーサネットの略です。イーサネットを通して点と点を接続する通信技術ということです。
電話回線を使って通信するために開発された、PPPoE接続方式は、ダイヤルアップ接続やISDN、ADSLでも使われてきた歴史を持ちます。その技術がイーサネット通信にも応用されたのです。
しかし、そもそもPPPoE接続方式は電話回線を前提とした技術なので古く、最大通信速度も200Mbpsに制限されています。
かつて、個人宅からインターネットに接続する場合、電話回線からダイヤルアップし、プロバイダーを介してインターネットに接続していました。このとき、接続のために用いられていたのが「PPP」と呼ばれる技術です。
その後、通信技術が発達し、ADSLなどの高速回線が登場するようになって、PPPをLANの規格であるイーサネット(Ethernet)上でも使う必要が出てきました。こうして誕生したのが「PPPoE(PPP over Ethernet)」です。
IPoEの特徴
次世代インターネット接続環境であるIPoEは、PPPoE方式にはないメリットや優れた特徴を備えています。
PPPoE方式ではIPv4方式のWebサイトのみ、IPoE方式ではIPv6方式のWebサイトのみに接続可能です。
ただし、PPPoE方式では「IPv6トンネル対応アダプター」やIPv6 PPPoE接続機能に対応した市販機器などを追加することによりIPv6方式のWebサイトにも接続可能です。
また、IPoE方式でも、「IPv4 over IPv6」という仕組みを利用してIPv4方式のWebサイトに接続可能です。
IPv4 PPPoE方式では、プロバイダーを経由してインターネットに接続するため、途中で必ずネットワーク終端装置を経由します。
次世代規格のIPv6 IPoE方式であれば、直接インターネットに接続するため、ネットワーク終端装置を経由しません。
インターネットの速度低下の原因となる網終端装置を迂回できるため、通信速度をベストエフォート値に近づけることができます。
通信速度の低下しやすいIPv4 PPPoE方式は、なぜ現在も使われているのでしょうか。その理由は、IPv4からIPv6への移行がまだ完了していないからです。
IPv6接続の欠点の1つとして、IPv4のみに対応したWebサイトに接続できない点が挙げられます。現在でもIPv6 IPoE方式では接続できないサイトやWebサービスが存在します。
一方、IPv4 PPPoEの接続方式であれば、IPv4接続にしか対応していないWebサイトはもちろん、IPv6がメインのWebサイトにも接続することができます。
IPoEのメリット
設定方法
インターネット接続をするために、ユーザー側でルーターやアダプターなど、専用の通信機器の設置することが必須となっています。
一方のIPoE方式は、シンプルにインターネットへ接続できるため設定方法が非常に簡単で手間がほとんど掛かりません。
安定性
PPPoE方式に比べてIPoE方式は接続設備の大容量化など、通信設備に関して、ゆとりを持たせた設計になっており、安定した通信を実現しています。
さらに、動画サービスなど、混雑の原因となりやすいコンシューマー向けインターネット通信のトラフィックを論理的分離が可能なサービスを選択することで、夜間などの通信が混雑する時間帯、利用者の多い都市エリアでも安定した速度で通信でき、常に安定した通信状況が求められるシーンなどでも快適に使用することができます。
セキュリティ
PPPoE方式はIDとパスワードによるユーザー認証が必要である一方、IPoE方式ではアクセスしてきた回線による回線認証のみでIDとパスワードによる認証は不要です。
ただし、IPoE方式ではIDもパスワードも不要となっているものの、セキュリティ的に脆弱というわけではありません。
契約情報を基に、回線側からインターネット接続に必要な設定情報がルーターへと流れ込み、ユーザー認証をせずとも自動的にインターネットに接続されるようなしくみとなっています。